※この記事の「Copilot」について

ここで比較しているのは、Officeなどの中にいるアシスタントとしての Microsoft Copilot です。2026年6月に一般提供が始まった Copilot Cowork(時間のかかる作業をまるごと任せられる仕組み)とは別の製品です。

そちらをお探しの方は、Copilot CoworkとClaude Coworkの違いのほうをご覧ください。

会社にはClaudeもCopilotもある

毎日、SharePoint上の台帳を開いて、記入漏れがある行を探して、担当者に声をかける。地味だが誰かがやらないと後で困る、そういう仕事があった。

これを自動化しようと考えた。決まった時刻に台帳をチェックして、未入力があればTeamsに通知が飛ぶようにする。

最初は、Claudeに直接やらせるつもりでいた。ところがこれができない。SharePoint上にあるExcelは、Claudeからは直接読めなかったからだ。手元にコピーすれば読めるのだが、それを毎日手でやるなら自動化の意味がない。

(この「どこに置いてあるファイルなら読めるのか」は最初に調べてあった。詳しくは前回の記事に書いている)

そこで方針を変えた。**ファイルを触る部分はMicrosoft Power Automateにやらせる。**AIにできないことは、別のツールに任せればいい。

ただ、こちらはプログラミングの経験がない。Power Automateも初めて触る。となると、誰かに聞きながら進めることになる。

幸い、会社にはAIが2つある。Microsoft CopilotとClaudeだ。せっかくなので両方に相談しながら作ってみた。この記事は、そのとき何が違ったかの記録になる。

先に断っておくと、これは「自分がこの作業をやったときの話」であって、どちらが優れているという一般論ではない。実際、後半に書くようにCopilotのほうが向いている場面もある。

作ったもの

まず何を作ったのかを簡単に。

  • 毎日決まった時刻に、SharePoint上にある当月の台帳(Excel)を自動で開く
  • 記入漏れの行を抽出する(案件番号はあるのに、記入者の欄が空、または「未確認」のままのもの)
  • 対象外の取引先は除外する
  • 該当があれば、Teamsに一覧を投稿する。ゼロ件なら何も送らない

文章にすると4行だが、これを作るのに何日かかかっている。理由は後述するが、途中で「これは無理かもしれない」と思う場面が何度かあった。

つまずいた場所:見えない文字が入っていた

一番苦労したのは、フィルターがどうしても効かないことだった。

台帳から「記入者の欄が空の行」を取り出そうとすると、結果がゼロ件になる。実際には空の行がいくつもあるのに、だ。設定を見直しても、書き方を変えても、うまくいかない。

原因が分かったときは脱力した。Excelの列名(見出し)の中に、改行文字が紛れ込んでいたのだ。

見た目には分からない。セルを見ても普通の見出しにしか見えない。ところがプログラムから見ると、その列の名前は「記入者」ではなく「記入者+改行」という別物になっていて、だから「記入者という名前の列」を探しても見つからなかった、という話だった。

これは非エンジニアには絶対に思いつかない類の原因だ。「自分の書き方が間違っている」としか思えないし、実際そう思って何時間も設定をいじっていた。

最終的には、列名を指定する代わりにデータ全体を文字列として検索する方法で回避した。正攻法ではないが動く。

ここで差が出た①:曖昧な質問に答えられるか

この「原因不明で詰まっている」状態こそが、2つのAIの差がはっきり出た場面だった。

こちらが投げられる質問は、正確には程遠い。

「フィルターが効かない。空の行があるはずなのに0件になる。なんで?」

専門用語で症状を説明できないから、こういう聞き方になる。何が起きているか分かっていないのだから当然だ。

Copilotは、この手の質問で意図を取り違えることがあった。 一般的な設定手順の説明が返ってきたり、こちらが既に試したことをもう一度勧められたりする。そして何より、やり取りが続くと前の話を見失う。「さっき言った条件で」が通じなくなると、また最初から説明することになる。原因究明は往復回数が多くなるので、これは地味に効いた。

Claudeは、曖昧なまま投げても文脈を保ったまま付き合ってくれた。 「その症状なら、列名に見えない文字が入っている可能性がある」といった、こちらが思いつかない仮説を出してくる。しかも「じゃあどう確認するか」まで具体的な手順で示してくれる。

改行文字の件も、自力では絶対にたどり着けなかった。「素人の曖昧な訴えから、原因の候補を出す」——非エンジニアが一番助けてほしいのは、まさにここだと思う。

ここで差が出た②:画面を見せて聞けるか

もうひとつ、そして個人的にはこちらのほうが決定的だった差がある。スクリーンショットを見せて聞けるかどうかだ。

Power Automateのような専門ツールは、画面の各部分に名前がある。でも初めて触る人間はその名前を知らない。だから言葉で説明できない。

「右上の……なんか歯車みたいなやつの下に出てくる、青い文字の部分」

こんな説明で伝わるはずがない。だから画面を撮って「これのどこを押せばいい?」と貼るのが一番早い

ここでの差は大きかった。Copilotは画面の状況をうまく把握できないことがあり、貼った画像とかみ合わない回答が返ってくることがあった。Claudeは画面を読み取って、「その画面なら、左側の◯◯を開いて、△△を選ぶ」と具体的に案内してくれた。

言葉を知らなくても質問できる、というのは非エンジニアにとって想像以上に大きい。用語を調べる時間がまるごと消えるからだ。

違いは「道筋が見えているかどうか」

ここまで読むとClaude一択に見えるかもしれないが、そうではない。両方を使ってみて、自分なりに整理できた軸がある。

Claudeが効くのは、ゴールは決まっているのに道筋が分からないとき。

今回がまさにそれだった。「記入漏れを自動で知らせたい」というゴールははっきりしている。でも、そこへどう辿り着けばいいのかは何も分かっていない。フィルターが効かない理由も分からない。こういう状態で、こちらが理解していないことまで推論して「たぶんこれが原因では」と提案してくれるのがClaudeの強みだった。

Copilotが効くのは、道筋が分かっているとき。

Officeの中に常駐していて、作業している横で逐一手を貸してくれる。やることが決まっている作業を速くする、加速装置のような存在だ。

  • Officeの中で完結する作業:Excel、Word、Teamsの画面からそのまま呼び出せる。別の窓を開いて往復しなくていい
  • 社内の情報を踏まえた作業:会議の要約、これまでのやり取りを前提にした下書き
  • 短い定型作業:メールの下書き、文章の整え——わざわざ相談するまでもないもの

つまり、Claudeは「道筋を一緒に探す相手」、Copilotは「決まった道を速く進むための装置」。優劣ではなく、そもそも役割が違う。加速装置は、既に動いている人を速くすることはできるが、止まっている人を動かすことはできない。

そう考えると、時間軸での使い分けも見えてくる。分からないうちはClaudeに相談して道筋を決め、やることが固まったらCopilotで手を動かす。 自分の中では、この流れが自然になりつつある。

結果として、どうなったか

出来上がったフローは本番で動いている。

決まった時刻に台帳を読んで、記入漏れがあればTeamsに一覧が届く。手作業で確認していた時間はゼロになった。抽出の正確さも、手で数えた結果と一致することを何度か確認している。

途中で見つかった別の罠もひとつ書いておく。読み取り件数の上限が最初は少なく設定されていて、月の後半のデータが抜け落ちていた。 テストは月初にやっていたので気づかず、危うくそのまま運用するところだった。設定を上限まで引き上げて解決している。

自動化を作るときは、「たまたま今日のデータでは動く」状態を完成と勘違いしないことが大事だと学んだ。

まとめ:どう使い分けているか

現時点での自分の使い分けはこうなっている。

場面 使うもの
ゴールは決まっているが、やり方が分からない Claude
エラーの原因が分からない Claude
用語を知らず、画面を見せて聞きたい Claude
やることが決まっていて、Officeの中で手を動かす Copilot
社内のやり取りを踏まえた要約・下書き Copilot

そして、この使い分けの前提には**「同じ作業をどちらでも試してみた」**という経験がある。会社に複数のAIがあるなら、最初のうちは同じ質問を両方に投げてみるといい。得意な形が違うことが、数回で体感できるはずだ。

※この記事は自分が試した時点での、自分の使い方における感想です。AIは更新が速いので、同じ結論が続くとは限りません。判断するときはご自身の環境で試してみてください。